現代人の肌はメタボ?

20代や30代の人には馴染みがない話かもしれませんが、かつて「化粧品の安全性」が社会問題化した時期がありました。戦後20年くらいまでは、肌のお手入れといえば、油分を補うようなシンプルなものだけだった時代を経て、女性たちがメイクを楽しみ、朝晩のスキンケアを日課とするようになっていきました。それと同時に化粧品に求められる機能も効果も多様化するなかで起きてきたのが、アレルギーなどの問題です。化粧品で肌荒れやかぶれといったトラブルが起きることが増えて、法制化の動きが高まり、現在のような薬事法や成分表記といった制度が整っていき、安全性への意識が高まっていったのです。

多くの一般の人が手に取るものですから、トラブルがあってはいけないのはもちろんなのですが、そうした流れの中で「落とし過ぎないように」と業界が舵を切りました。かつて、洗顔料のCMでは「キレイに洗って肌がキュッ!」というのが売り文句だったのが、今では「洗いあがりはしっとり」が定番です。洗顔料なのに美容成分がたっぷり配合されて、とにかく「与える」ことがメインになっています。化粧水で潤いを、美容液で栄養を、乳液やクリームでフタを、というのが基本ですね。これではまるで毎日フレンチのフルコースを食べているようなものです。こんなお手入れを毎日続けていれば、お肌がメタボになってしまうのです。
「潤っている」といえば聞こえはいいけれど、なんかベタベタするみたい。しっとりモチモチするけれど、たるみはなかなか治らない…こういう人はまず肌のメタボを疑ってみることです。もちろん、今使っている化粧品が悪いと決めつける必要はありません。それよりも大切なことは、メタボになった肌では、どんなに高価な化粧品を使っていても、効果をきちんと引き出すことは難しいのだ、ということです。化粧品が「効く」肌になるためには、肌の生理を見つめた働きかけが必要なのです。

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